遠藤周作「影に対して」

先日遠藤周作氏の未発表の小説が発見され大きな話題になりました。
「影に対して」という氏のお母さまをめぐる壮絶なお話です。

氏のお母さま遠藤郁さんはヴァイオリニストで、私が通っていた宝塚小林(おばやし)の聖心女子学で、一時期音楽の先生をなさっていました。

いつも着物姿で袖を押さえながらタクトをお振りになる姿は、実に個性的でなお且つ大変お怖い先生でした。

授業中、先生がタクトで生徒を指して「そこのかたー!」と大きな声が飛んでくると、生徒の誰かが先生の豹変にこらえ笑いが止まらず、その時の肩の震えがみんなの肩に伝染して周り中に広がってしまい、箸が転んでも可笑しい年頃だった私たちは、毎回笑いをこらえるのに地獄の苦しみでした。

その時代に郁先生はつらいつらい毎日を送っていらっしゃったことや、遠藤周作氏のお母さまへの壮絶な思いをこの著書で知り、私は涙が止まりませんでした。

ぜひご一読をお勧めします。

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銀座 鳥ぎん本店

やっと新型コロナも落ち着いてきたようで、久しぶりに友人を誘い私の大好きなお店「鳥ぎん本店(銀座)」へ行ってきました。

このお店は私が学生のころからなんと65年も通っていますが、その訳は・・・

1995年に「誰かと行きたいとっておきのお店」という私の本がPHPから出版され、その中にこのお店のことが書いてあり、お店のレジ横に飾ってありますが店内に限り貸し出しが可能だそうです。

銀座のど真ん中だというのにそのお安いこと、味は日本一です(私とても味にうるさいの)。
みんな楽しく美味しくいただきました。

それにしてもある程度安心して外出できるようになったのは、前首相の菅さんのおかげだと思います。
新型コロナとオリンピックと大変な時にご苦労はいかばかりかと思います。
心から感謝しています。

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今心に思うこと

新型コロナで世界中が大変です。また人種差別の問題も色々と起きました。

私は1959年にアメリカの音楽院に留学し、1960年からは芸能界で働くことになり、ブロードウェイショー「スージー・ウォンの世界」でアメリカ各地をまわっていました。

小説「風と共に去りぬ」で有名な南部の都市、ジョージア州のアトランタで公演をしていた時の事です。

オープンして3日目に、この劇場には三階席があり、そこにも大勢の黒人のお客さんがいたことに気が付いて愕然としました。そこは黒人専用の席だったのですが、全体が暗くて全く気が付きませんでした。

シーンによっては舞台後方の少し高くなった場所での芝居もあるため、三階席からは観ることが出来ません。

その日の公演終了後に出演者全員が集まり色々話し合った結果、可能な限り芝居をする位置を前方に移動することに決めました。

本来、私たち俳優は俳優組合に所属していて勝手にセリフや位置を変えることは、絶対に許される事ではありませんでしたが、それでも私たちの熱意に負けて舞台監督も許してくれました。

カーテンコールの時もできるだけ前方に立ち、精一杯三階席に向かって挨拶することを続け、無事アトランタでの講演を終えました。

1863年リーンカーンによって奴隷解放宣言がなされて奴隷制度は無くなりましたが、差別は依然として続いているのです。

私は、アメリカで暮らした6年で、数々のアメリカンホスピタリティを受けてきました。だからアメリカは大好きです。

でも、この国が抱えている大きな悩みはいかんともし難い悲しい現実です。

私に言えることは、全ての人々に思いやりの心を持ちましょうという言葉だけです。

                           ロミ・山田

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